ある日、家人の付き添いでカイロプラクティックの門をくぐった。
付き添いとしての役目を終えて待っている間、「よかったら背骨のレントゲンとりませんか?サービスです」と言われ、新規顧客獲得作戦・・とは思ったけど、おもしろいので撮ってもらった。撮ってもらったはいいけど、特にカイロが有効と思われる症状は、自分の体に思い当たらない。人並みに不調は抱えているけど、カイロでアプローチするようなものはない。
レントゲンの結果が出る間、問診してもらうことになった。絞り出すように、「・・・うーん、そういえば、左足の付け根に鈍い痛みがあります。痛みというほど痛くなくて、『何かあるなあ』程度なので、病院に行こうと思ったことはありません。もう8年ぐらい変化もありませんし」と話した。先生は「大腰筋、かな」と言った。背骨と脚の骨をつなぐ太い筋肉だそうだ。「とすると、冷え性かな?」と聞かれ、「手先も足先も凍っていますね。夏でも」と笑って伝えた。そこから芋づる式に、血行不良、低血圧、徐脈の疑い、むくみ、食欲不振、頭痛、不眠、などを明かすと、意外にも「典型的な患者の症状」と言い渡され、家人そっちのけで私の治療をすることになった。
大腰筋というその筋肉がひどく凝っているそうで(曰く「マラソンできる状態ではない」)、そこを通る太い動脈の流れが阻害されているのが冷えや血行不良の原因になっているのではないか、ということ。さらに背骨のレントゲンを見てみると、腰椎と頚椎に一箇所ずつ、大きくダメージを受けた後がみられる。「事故などあったことはありません」と一度は伝えたけど、よおく考えて一つだけ頭に浮かんだのは、13歳の頃の遠い記憶だった。鬼先生の英語塾に遅れそうで、下り坂なのにフルスピードで自転車を走らせていたら、石につまずいてアスファルトにダイブしてあごの皮膚が割れた。(顔と首のちょうど境目に縫い傷がある。骨折はなかった。)「恐らくそれに間違いないですね。生身で受けた衝撃なので、思っている以上に大きかったんじゃないか」と。該当箇所は神経の通り道が狭まっているし、さらに背骨全体に渡って関節があまりよく動いていないようで、自律神経系の不調はそれらが原因だろうという話しだった。
20回のプログラムを組んで、治療することになった。
毎回、(1)電気を流して筋肉を柔らかくした後、(2)かなり力を入れた筋肉マッサージをする。(3)背骨、肋骨と脚や首の骨を矯正(バキバキってやつ)して、(4)大腰筋の可動域を広げる矯正をする。最後の4は声をあげたくなるくらい痛い、けど、負けず嫌いも手伝ってぐぐぐっとこらえる。先生は最後に「がんばりましたねえ」と笑う。
初回の施術の後から変化が出始めた。仕事に行くと、猛烈な睡魔に襲われた。エンドルフィンというホルモン分泌が活発になっているのだそうだ。事情を伝えて早退し、2リットルのお水を飲んで眠ると、起きた頃には体液が全て入れ替わるんじゃないかというほど(笑)大量な何かが流れ出て行った。
以降、今は5分の1ぐらいの工程を終えたところなんだけど、手足が冷たくない、お腹がへる、食べると体がポカポカする、トイレによくいく、よく眠れる、眠りが深い、頭痛がない。さらに施術日の夜は、ビール小瓶1本で頭がぐるんぐるんする。先生は、「触診する限り、筋肉や関節の反応が早い」と楽しそうにしている。
当の私はと言うと、あんまり変化が大きくて、このまま人格まで変わるんじゃないかと、ちょっとわくわくしている。
女子力だって上がるかもしれない。
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