温泉以外にもうひとつ、アメリカではなかなか出来なかったことがあって、それはなにかというと単館系の映画をみることでした。ほんと「ミニシアター」っていうものが、もうないんですよね。大手のシアターでさえ、週末でも最新作でも2-3割程度にしかお客さんがいなかったですし。サンノゼ近辺はもちろん、それはLAでも同じよう。ハリウッドですら、映画はもう劇場でみるものではなくなっているのかな。・・・そうそう、ちょっと話しが飛んじゃうんだけど、先日、帰国後初めて日本の映画館に行ってみると、「6月から高校生は1000円にする」と案内がありました。これはとてもいい話しだと思う。1000円だって高校生にはぎりぎり出せる額だよね。採算の合う範囲で、合わないならやりくりして、どんどん敷居を下げたらよいと思う。やる気になれば3-4人でまわせるのではないか、映画館。例え、お金のある大人に負担が回ることになっても。・・・私のようにお金のない大人はどうするかって話しはいったん置いておいて。
というわけで、近所のTSUTAYAの「ミニシアターコーナー」が今の私の遊び場です。1時間いても2時間いても飽きません。(TSUTAYAの店内レイアウトって、売り上げを大きく左右しますね。最寄の店舗より、いつももうひとつ先の気の利いた店舗まで足を運んでしまう。)
さて、最近見た中でおもしろかったもの。
理想の出産(フランス/2011)
フランスの人気作家エリエット・アベカシスの自伝的小説をもとに、妊娠・出産・育児の理想と現実をリアルに描いたドラマ。大学院生のバルバラは、レンタルビデオ店で働く青年ニコラと恋に落ち、すぐに一緒に暮らしはじめる。やがてバルバラは妊娠するが、喜びに包まれたのもつかの間、体調や環境の急激な変化に戸惑いを感じるようになり……。ヒロイン役に「アデル ファラオと復活の秘薬」のルイーズ・ブルゴワン。
エデン(アメリカ/2012)
アメリカで実際に起きた事件をもとに、人身売買組織に囚われた少女の過酷な運命を描いたサスペンス。1994年。ニューメキシコに住む少女ヒョンジェは、バーで知り合った男に拉致されてラスベガスへと密輸され、売春宿で働かされることに。始めのうちは激しく抵抗するヒョンジェだったが、やがて生きるために売春宿での暮らしを受け入れ、組織内で地位を築いていく。主演は「エンジェル ウォーズ」のジェイミー・チャン。
ヘンリー・アンド・ザ・ファミリー(アメリカ/2012)
(日本語版予告編はここでみれます。)
生まれた時から言葉を話し、優れた記憶力を持つヘンリー。クセのある祖父と気の強い母の元で育った彼は、ある日、自分が人工授精で生まれ、腹違いの姉がいることを知る。生物学上の姉・オードリーは、学校でいじめられていて、父・スラヴキンとの仲も険悪だった。そんな彼らが、一つの家族に…!?
ファースト・ポジション(アメリカ/2011)
ローザンヌ国際バレエコンクールと並ぶ世界最大級のバレエコンクール、ユース・アメリカ・グランプリに挑む若きダンサーたちにスポットを当てたドキュメンタリー。自身も幼少時代をバレエに捧げた経験を持つ女性ジャーナリストのベス・カーグマンが監督を務め、ニューヨークで開催される最終選考に出場する6人に密着。撮影・編集に2年の歳月を費やし、個性豊かな子どもたちの素顔や家族のドラマを浮き彫りにしていく。
なんだろう、ぼーっとしていても「マタニティムービー」と呼ばれる映画が一気に増えたのがわかる。ハリウッドもヨーロッパも、大作も小作も、まじめなものもコメディも。『理想の出産』は、妊娠から出産、育児のその後まで、ほんとうに正直な生活レベルの描写を、上手なテンポと丁寧さで実現したことに好感。フランスの事情も日本と全く変わらないんだなあって、微笑ましくも思いました。
『エデン』は20年ぐらい前の人身売買事件を映画化したもの。ネバダからニューメキシコあたりのアメリカ南西部が舞台になっていて、その風景が、汚職の実態含めて、リアルに胸に刺さるんだよね。クライムサスペンスっていうんじゃなくて、事件を脚色して紹介してるにすぎないんだけど、ハラハラして、現実に心が痛んで、何が解決するわけでもなく幕が閉じて、でも絶望だけではないその後味に思考をさまよわせていると、唐突にこの曲が流れるの。乾ききったネバダの風景と共に。'life is going on'とでもいうように。なんだか懐かしくて、懐かしいだけに、また現実感が強まるんだよね。
Love More - Sharon Van Etten
衝撃の大きかったジェイク・バグのライブについても書きたかったんだけど、また次回。
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